2016.03.18

3/15(火)開催「Ruby Tuesday 9」ライブレポート!ONIGAWARA/mol-74/Helsinki Lambda Club/椎木知仁(My Hair is Bad)

今注目すべきニューカマーに焦点を当てたイベント「Ruby Tuesday」。9回目の開催となった今回は、Shibuya WWWにて開催され、個性豊かな全4組のアーティストが集結した。(Text:蜂須賀ちなみ / Photo:佐藤早苗(ライトサム)・MASANORI FUJIKAWA)

ONIGAWARA、Photo:佐藤早苗(ライトサム)

この日のトップバッターはHelsinki Lambda Club。どこか気怠げでいて時には全身全霊にも聴こえる橋本薫(Vo&Gt)のヴォーカルをはじめ、フォークもUKも経由しながら歪にきらめく4ピースサウンドには掴みどころのない青さが宿っている。〈そんなことを考えて/バンドをやっている〉というフレーズが印象的な「バンドワゴネスク」からライヴをスタートさせると、アベヨウスケ(Dr&Gt)のビートがバンドを加速させ「宵山ミラーボール」へ。「Lost in the Supermarket」では佐久間公平(Gt&Cho)と稲葉航大(Ba&Cho)による不可思議だけど妙にポップな旋律がクセになる。橋本のギタートラブルにより他3人がたどたどしくMCで場をつなぐという場面もあったものの、全9曲を演奏、と大盤振る舞いだったこの日のヘルシンキ。終盤ではドライヴ感バツグンの「Skin」、ホイッスルまで持ち出してワイワイ騒ぎ倒す「TVHBD」、清々しいほど陽性のエネルギーを放つ「ユアンと踊れ」などで畳み掛け、会場を昂揚させた。

Helsinki Lambda Club、Photo:佐藤早苗(ライトサム)

Helsinki Lambda Club、Photo:佐藤早苗(ライトサム)

メインステージの転換中、LOUNGE AREAでは2回にわたり椎木知仁(My Hair is Bad)による弾き語りライヴが行われた。人間の情けない部分から目をそらさない楽曲のスタイルはマイヘアにも共通する部分。それがアコースティックギター1本+歌という必要最低限の音数で鳴らされることにより、その情けなさは最も無防備な状態で曝されることになるし、それを聴いているうちにこちらのバリアもボロボロ剥がれていくような感覚がある。どんどん強くなるカッティングに、心の内側を引っ掻かれる感覚がある。その場で思いついたことを話し
思いついた曲を演奏しているのではないかというほど、飾らない温度感で進むライヴ。1st setでは交際相手を養う女性を描いた「ヒモと女」と、そのアンサーソングで男性側の目線から唄われる「元ヒモとして」を連続で披露。2nd setで演奏された「ハイエースに乗って」は椎木が「もしも自分が女性に生まれてバンドを追いかけるようになったら」という視点で書いた曲というだけに、その内容に共感した人も多かったのではなかろうか。

椎木知仁(My Hair is Bad)、Photo:MASANORI FUJIKAWA

椎木知仁(My Hair is Bad)、Photo:MASANORI FUJIKAWA

続いてメインステージには、京都発のバンド・mol-74が登場。WWWでライヴをするのは初めてとのことだが、武市和希(Vo,Gt,Key)の柔らかなファルセットを中心に据えた透明度の高いアンサンブルは天井の高いこの会場でよく映える。音の響きがゆったりと行き渡っていく様子がとても心地よい。そんなサウンドに浸るようにじっくりと聴きいるオーディエンスの姿も印象に残った。今年1月には初のワンマンツアーを成功させたばかりの彼らだが、この日はなんと1曲目から新曲を披露。挑戦的なセットリストでバンドの新たなモードを提示するが、とはいえバンドに気負っている様子はなく、どこかリラックスした空気が流れているのが良い。中盤で披露された「%」はこのバンドには珍しいアッパーチューンたが、力強いドラムのビートとととに徐々に光を纏いながら開放感溢れるサビへと向かっていく同曲は、彼らにとって新境地といえよう。雪のように無垢な音楽を奏でる人たちだと思っていたが、もしかするといまは、その白色に彩りが加わりつつある時期なのかもしれない。

mol-74、Photo:MASANORI FUJIKAWA

mol-74、Photo:MASANORI FUJIKAWA

そしてトリを務めたのは、元・竹内電気の竹内サティフォ(Vocal,Guitar,Programming)と斉藤伸也(Vocal,GAYA,Programming)によるスーパーJ-POPユニット、ONIGAWARA。前回の「Ruby Tuesday 8」ではBAR STAGE ACTとして出演した2人が、本イベントに帰ってきた! 眩いばかりの照明を浴びながら登場早々「Ruby Tuesday、盛り上がって行こうぜー!」とフロアを煽る伸也。90年代J-POPを現代流に咀嚼しながらも洗練させすぎずにあえてダサさを残したこの感じ。恋心をベタに描く楽曲を爽やかかつキュートに唄うサティフォの愛らしさも何だか憎めない。敵を作らないどこまでもオーブンな音楽は、サイリウムを手にした彼らのファンをはじめ、おそらく初見と思われるオーディエンスまでもごっそり巻き込みながら問答無用のパーティータイムを創り出していく。小説、マンガ、音楽、お笑いなど様々なネタをパロディしつつ、「俺たちがスーパースターじゃなくてお前たちがスーパースターなんだ」と伸也がキザにキメた「ONIGAWARA SUPER STAR」が終わる頃にはあちこちから「フゥー!」なんて歓声が飛んでいる。そしてライヴの翌日・3月16日に発売日を迎えた1stミニアルバムから「欲望」「ボーイフレンドになりたいっ!」も披露。2人によるダンスレクチャーがあった前者でも、アンコールで唄われた後者でも、新曲とはにわかに信じられないほどフロア全体が踊りまくっていたのだった。

ONIGAWARA、Photo:佐藤早苗(ライトサム)

ONIGAWARA、Photo:佐藤早苗(ライトサム)

なお、このイベントの10回目が来月4月26日(火)新宿LOFTにて行われる。出演は、BRADIO/phatmans after school/サイダーガール/小南泰葉(BAR STAGE ACT)の4組。こちらも見逃せないステージになりそうだ。

セットリスト

Helsinki Lambda Club
1. バンドワゴネスク / 2. 宵山ミラーボール / 3. Lost in the Supermarket / 4. メサイアのビーチ / 5. しゃれこうべ しゃれこうべ / 6. Skin / 7. TVHBD / 8. ユアンと踊れ / 9. シンセミア

椎木知仁(My Hair is Bad)
1st set
1. 今日はゆっくり寝よう / 2. ヒモと女 / 3. 元ヒモとして / 4. ワンルーム / 5. 大人になってこそ
2nd set
1. だらしない / 2. ハイエースに乗って / 3. あの頃のバンド、2つ目のバイト

mol-74
1. プラスチックワード / 2. ヘールシャム / 3. 不安定なワルツ / 4. グレイッシュ / 5. % / 6. 3.9 / 7. 待ちわびた音色 / 8. ヘルツ

ONIGAWARA
1. エビバディOK? / 2. Let’s Dance!! / 3. 恋のメリーゴーランド / 4. ONIGAWARA SUPER STAR / 5. 欲望 / 6. ポップミュージックは僕のもの / 7. Eじゃん / EN. ボーイフレンドになりたいっ!


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日程:2016/03/15(火) 18:15/19:00
会場:Shibuya WWW
出演:ONIGAWARA / mol-74 / Helsinki Lambda Club
LOUNGE AREA ACT:椎木知仁(My Hair is Bad)

Ruby Tuesday Official HP
http://www.red-hot.ne.jp/dice/ruby/vol9.php


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