そして、リハーサルでクリープハイプの「イト」を演奏し、本番スタート前から会場を沸かせたのがsumika。片岡健太(Vo, Gt)が深く息を吸い、両手を大きく広げて「Answer」を始めるとオーディエンスはそのキラキラした音の波に一気に酔いしれる。続く「Lovers」は弾むようなピアノのメロディが楽しい1曲。「1番になりにきた」という気合十分のMCを挟んで、ダンスナンバーの「カルチャーショッカー」と「ソーダ」などを披露する。全神経を使って自分たちの世界を伝えようしている真摯な姿が印象的で、ラストを飾ったのは「伝言歌」。ラストのサビではアカペラのシンガロングが巻き起こり、カラフルかつ意外にも骨太なステージで会場を巻き込み、最終的には自分たちの世界へと誘う独特なライブを見せつけた。
sumika
続くこの日の折り返し地点は、MASSIVE STAGEのクリープハイプ。「なんか今日は緊張するなあと思ってたんだけど、当たり前だよな。セックスの前はいつだってドキドキしますよね」という尾崎世界観の言葉で、ライブアンセム「HE IS MINE」が1曲目だと確信したファンの歓声でライブスタート。「愛の標識」「鬼」での挑発的なステージング、官能的なパフォーマンスに黄色い悲鳴すらあがる。後半は「大丈夫」「イノチミジカシコイセヨオトメ」を経て、徐々にポップ度が増していき「オレンジ」、そして「イト」で盛り上がりは爆発。最後はブルージーな「二十九、三十」で熱狂を昇華させ、ステージを締めくくった。
クリープハイプ
COSMIC STAGEはD.A.N.。ノンMCで始まったのは、祝祭音楽のような「Zidane」。体が震えるほどの低音でうねるベースラインの上で鳴り響く上モノのシンセも気持ちよく観客はユラユラ。ここから「Time Machine」の5曲まで、4人の演奏はノンストップで続く。音に呼応したライティングでD.A.N.独特の恍惚とした世界が広がる。「この曲で最後です」という言葉で我に返ったのもつかの間、プレイしたのは最新曲「Chance」。アドレナリンが大放出されるライブで魅了した。
D.A.N.
満を持してのMASSIVE STAGE、MAN WITH A MISSION。オオカミたちを歓迎する“ガウガウポーズ”で埋め尽くされたフロアはメンバーが登場した瞬間、怒号のような歓声。もはやここは彼らのホーム。「楽シンデルカ人間ノ野郎ドモ!」という雄叫びとともに始まったのは「FLY AGAIN」。恒例の手振りで会場はすでに一つになったと思ったら、「database」「Hey Now」と畳み掛ける。さらに「My Hero」「Take What U Want」とロックチューンを立て続けに送り、攻めの手を緩めることはない。「ツタロック、我々ガ前ニオ世話ニナッタノハクアトロダッタンデスヨネ。ソレガ今ヤ幕張ニ集マッテ、スゴイデスネ」とイベントへの賛辞をいただき、ライブアンセム「Emotions」へ。会場に大きなシンガロングが響き渡る。後の「Raise your flag」で渾身の演奏を終えた際には、ほとんどの観客がMWAMのタオルやガウガウポーズを掲げていた。
MAN WITH A MISSION
D.A.N.の恍惚のステージからバトンタッチされたのは、COSMIC STAGEのOGRE YOU ASSHOLE。音楽ではなく、観客の拍手をSEに精悍としてステージに現れるメンバー。こちらの心の準備が整う前にベースラインが鳴り響く。「寝つけない」だ。シームレスに「ロープ」へとつなぎ、スペイシーな演奏が続く。そして「フラッグ」へ。少ない手数で圧巻のグルーヴを生み出す勝浦隆嗣のドラムは徐々にダンス・ミュージックへとトランスフォームを遂げていき、今日のハイライトともいえる瞬間を作る。「見えないルール」でいったん演奏を終えると、あっという間にラストナンバー「ワイパー」。吸い込まれそうな轟音の渦、まだまだ聞きたいと思える最高なテンションで彼らのステージが終わった。
OGRE YOU ASSHOLE
会場に「飛べー!」と叫び、キラーチューンの「ワタリドリ」からスタートしたのは、Massive Stageの [Alexandros]。続けざまに「Run Away」「明日、また」で息つく暇もない。代々木公園で路上ライブをしていた彼らが、今、ここでロックスターになったことを体現した迫力がここにはあった。ギターが鋭い「I Don’t Believe In You」、ヒップホップのビートが体の芯から揺する「Kaiju」、まだ名もない「新曲」と息つく間もないパフォーマンスを展開。「Adventure」の“いつだって僕達は君を連れて行く”という歌詞は、これまでの歴史を感じられる説得力があった。そしてラストの「Kick & Spin」へ。音楽でしか伝えられないことがある。 [Alexandros]というアーティストの底知れなさが伝わるステージとなった。
[Alexandros]
続くCOSMIC STAGEはSUPER BEAVERだ。会場の外を表現したかのような夕日の照明が輝くなか現れた渋谷龍太(Vo)に促され1曲目の「美しい日」から壮大なクラップが会場を包む。会場全体を見渡し、後ろの方にまで「元気?」と投げかける姿は優しい。「証明」でシンガロングを巻き起こしたかと思うと「好きな音楽だけ聴いて、あなたの好きを貫いてください」という彼の言葉でフェスの何たるかを湾曲的に語ったかと思ったら、真正面からのロックンロールを鳴らす「正攻法」、踊れないロックバンドが会場を躍らせた「irony」とリスナーにはたまらない選曲が続く。「あなたと正面から対峙するための歌を」と告げ始まったのは「人として」そして「青い春」へと。盛大なコール&レスポンスの「秘密」で、青臭いほどの愚直さでまっすぐに音を聞かせる時間を作り上げた。
SUPER BEAVER