2007年の列伝ツアーから8年を経て、当時22歳だったメンバーも30歳を迎えたNICO Touches the Walls。全員が白シャツにジーパンというシンプルなスタイルで登場した4人は、「まっすぐなうた」から、貫禄のロックンロールでフロアを熱くした。ポップなメロディにオーディエンスが一体となってクラップを刻む「手をたたけ」では、古村大介(G)、坂倉心悟(B)が太鼓を打ち鳴らし、光村龍哉 (Vo・G)がアコースティックギターを弾き歌うというダイナミックなライブアレンジで披露。「いまのNICOが最強だと思う。誰にも負ける気がしないぜ!」と、光村が言い放つMCも力強い。「ニワカ雨ニモ負ケズ」や新曲「渦と渦」など、泥臭いグルーヴと、抜群のギターリフとで、これぞロックバンドと思わせるかっこいいステージを見せながら、最後に「ロックを信じていれば絶対に負けないから!」と光村。どこまでも男らしいステージだった。
メインステージで、“先輩バンド”たちが続々と素晴らしいパフォーマンスを繰り広げるなか、サブステージでも、オリジナリティ溢れるニューカマーのライブが白熱する。
あのKEYTALKを輩出したKOGA Recordsに所属する期待の4人組Benthamは、小関竜矢(Vo・G)のクリアなハイトーンボイスが伸びやかに響いた「TONIGHT」からスタート。「HEY!!」「アナログマン」など、楽器隊の全員が主役級の個性を持つ、ハイクオリティなダンスロックにフロアは踊らせる。「みんな、コール&レスポンスとか慣れてるだろうから、難しいやつやるよ!」と、イベント名を使ったユニークなコール&レスポンスによる煽りも、彼らの得意とするところ。全国のライブハウスで修行を重ね、めきめきと実力をつけている4人は、今後フェスの人気者の座を狙っていくだろう。
異色の存在感を放ったのは、ニューウェーブとドリームポップの影響を公言して、自らを“ドリームウェーブバンド”と標榜する4人組、PELICAN FANCLUBだった。8月5日にリリースしたばかりのアルバム『PELICAN FANCLUB』のナンバーを3曲立て続けに披露して、美しさと狂気、不穏と激情、浮遊感が入り混じった、どこか刹那的なポップスミュージックを聴かせていく。MCでは「(列伝は)人間だったら中学3年生ぐらい。そんな思春期の列伝に何か刺激を与えられたらいいと思う」と言ったエンドウアンリ(Vo・G)。その言葉のとおり、彼らの独創的な佇まいはシーンに一石を投じる存在になりそうだ。