これからのシーンを牽引していくであろうニューカマーに焦点をあてたライブイベント「Ruby Tuesday」。第六回目となる今回は、〈うた〉に魅力のあるニューカマー4組が集結し、あいにく雨模様となってしまった七夕の夜をそれぞれのカラーで鮮やかに彩った。(Photo:板橋 淳一)
トップバッターを飾ったのは、大阪発4ピース・ピアノロックバンドSHE’S。時折切迫した表情を見せる繊細な歌声と、楽曲で切り取られた情景に感情を色付けしていくエモーショナルな演奏に観客もグイグイと引き込まれていく。鍵盤がいるからといって綺麗に収まるのではなく、感情を爆発させながら攻めた演奏を展開するのが彼らの持ち味だ。一方、中盤に披露された「Evergreen」では、タイトル通り、まるで柔らかな光の中にいるかのような多幸感が会場全体を包み込む。野外の広い会場で、この楽曲をみんなでシンガロングしている光景が容易に想像できるほどのスケール感に、どんどん進化していくバンドの現在地を見せつけられた。
メインステージの転換中、Barステージではヒグチアイの弾き語りが行われた。感情を叩き付けるかのようなピアノ演奏、聴く者の心にまっすぐ突き刺さる歌。それはまるで、心臓をわしづかみにされて耳元で唄われているかのような説得力をもって我々の耳に飛び込んでくる。1曲目に披露された「ぽたり」のように、ヒグチの歌には「変わりたいのに変われない」と葛藤する彼女の姿が滲んでいる。そんな彼女と自分とを重ね合わせるかのように、観客もじっと彼女の歌に聴き入っていた。所々に挟まれる愛嬌あるMCも相まって会場の一体感はどんどん増してゆき、ラスト「ツンデレ」では思わずヒグチが立ち上がってピアノを演奏する場面も。鳴り止まない拍手の中、深々とお辞儀をしてステージを去って行ったのだった。
「七夕の願いはひとつ! 今日このステージを楽しむこと! それだけ!!」というシミズ コウヘイ(Gu&MC)の宣言から勢いよくライブをスタートさせたカラスは真っ白。高度なスキルを持ったプレイヤー陣によるアグレッシブな演奏と、その上を飄々と転がっていくヤギヌマ カナのボーカル。ヤギヌマと他3人の〈静と動〉のコントラストが、視覚的にも聴覚的にもおもしろいバンドだ。まるでコントのようなMCをしたり、オリジナルで考えてきたという振り付けを披露したりと、観客を巻き込むエンターテインメント性もバッチリ。しかし油断していると、〈黒で塗りつぶしてあげるわ〉(「正義とアクチュエーダ」)など、ふと耳に飛び込んでくる彼らの毒が全身にまわってしまうから要注意だ。
Barステージでのヒグチアイの2回目の弾き語りを挟んだあと、メインステージにはイベントのトリを飾るアンテナが登場した。「言葉でロックシーンに切り込んで行きたい」というボーカル渡辺の言葉通り、あどけなさを残した歌声で人間の汚いところをどんどんと暴いていく。弾き語りで披露しても遜色ないであろう普遍的でキャッチーなメロディ、そしてそれを盛り立てるコーラスワークも秀逸だ。「一歩進むきっかけをくれた歌」と紹介されてはじまった「さよならの代わり」では、途中渡辺が表情をクシャクシャにしながらオフマイクで歌い、どこかメランコリックな空気をまとった彼らの世界観を色濃く表現していた。そしてラストは、盛り上がり必至の四つ打ちナンバー「ブックメーカー」をドロップ。「またライブハウスで会いましょう!」とイベントを締めくくったのだった。
SHE’S
1. Night Owl
2. Change
3. Just Find What You’d Carry Out
4. Back To Kid
5. Evergreen
6. Voice
ヒグチアイ 1st set
1. ぽたり
2. まぼろしの人
3. まっすぐ
4. ツンデレ
カラスは真っ白
1. the xxx
2. fake!fake!
3. そまって
4. 正義とアクチュエータ
5. 革命前夜
6. 9番目の「?」
M7. HIMITSUスパーク
ヒグチアイ 2nd set
1. 黒い影
2. 東京
3. カゲロウ(仮)
4. ココロジェリーフィッシュ
アンテナ
1. ドラマ
2. サニーデイ
3. 涙はいらない
4. サツキ
5. 各駅停車
6. さよならの代わり
7. バースデイ
8. ブックメーカー
EN. 足音
日程:2015/07/07(火) Open 18:00 / Start 19:00
会場:新宿 LOFT
出演:アンテナ / カラスは真っ白 / SHE’S
BAR STAGE ACT:ヒグチアイ
Ruby Tuesday Official HP
http://www.red-hot.ne.jp/dice/ruby/