30日(土)の“Rainbow Beat”は、これまでのSlow Music Slow LIVEでお馴染みのメンツが揃った上に、佐野元春が初参戦して話題の日となった。オープニング・アクトの古川本舗は、男女2人のボーカルを擁する7人編成。カホーンやスタンディング・ベースを使って、大らかなアコースティック・ロックを演奏する。そんなサウンドにワルツがぴったりマッチした「Hail against the barn door」が楽しかった。(PHOTO:TEAM LIGHTSOME)
ハンバート ハンバートは “夫婦デュオ”としての風格が出てきた。「夏を締めくくるお祭りです」と言って歌い始めた「Shall we dance」は初々しい恋の歌。一方で、すれ違い始めたカップルの歌「ぶらんぶらん」もいい。悲しい物語をユーモラスに描く、持ち味全開のステージとなった。
土岐麻子は、「今回は贅沢させてもらいました」と言うように、バックのギターはペトロールズの長岡亮介、ピアノは世武裕子という、ともにシンガーソングライターの二人。それに土岐が加わるハーモニーが絶妙で、「Mr.Sandman」や「トー キョー・ドライブ」など非常に洗練された音楽でオーディエンスを楽しませた。
昨年、初出演して大きな反響があったCaravanが、今年はトランペットとスタンディング・ベースを従えて登場。何事にも縛られないボヘミアンならではの、旅をテーマにした歌を次々に。「ハレルヤ」は雄大なロマンを感じさせて、今年も大きな拍手を浴びていた。
BONNIE PINKはすっかりSlow Music Slow LIVEに定着したメンバー。会場とオーディエンスの様子を知り尽くしたステージングで素晴らしいライブを展開する。1曲目の「So Wonderful」からキュートな歌声で魅了。アコギ1本をバックに歌った「Grow」は情感豊かで素晴らしく、「またこのステージに戻ってきたいと思います」と名残惜しそうに語って去った。
ORIGINAL LOVEも常連の一人。登場しただけで大歓声が上がる。それを受けて、田島貴男はドブロギターのボディを叩き出す。このところ、普通のアコギを叩いたり弾いたりしてループを作って演奏する手法が流行っているが、ドブロをループに使うとは。しかも、その音が抜群にいい。さすがORIGINAL LOVEだ。のっけから観客のハートをつかんで、最高のパフォーマンスを見せたのだった。「ウイスキーが、お好きでしょ」をセクシーに歌うと、会場は大盛り上がり。終わった後、フードコートの白州を使用したハイボールが、飛ぶように売れたのは言うまでもない。
トリには、佐野元春&The Hobo King Bandが、ついに本門寺に初登場。この日、最大の歓声が上がる。すると佐野はそれに応えて、何とチェロ入りの編成でオープニングの「ヤァ!ソウルボーイ」から柔らかなタッチでじっくり盛り上げていく。このところ『SOMEDAY』、『VISITORS』と名作アルバムの完全演奏を成功させ乗りに乗る佐野元春の、“大人の野外ライブ”を意識したセットリストだ。穏やかだが、情熱的なライブとなった。「約束の橋」など、過去の曲がスペシャルなアレンジで演奏される。それは夜の虹のように、見えない色彩で初秋の空をいろどり、満員のオーディエンスをしばし夢の世界へ導いたのだった。
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