2012.06.01

1ダースの水滴 〜第9滴〜「ライトブルー・フラッグ」

八島純子

八島純子が綴る妄想短編詩集

たおやかなドレープが滴り落ちる

白い月が見えるとき

あらかじめ集めておいた

たくさんの銀色のタッセルで

屋敷中のカーテンを持ち出した。

裏庭にきれいにならべて

はしっこを銀色の糸で縫い止めた。

ぐるんとくるまって

愛猫を手招きした。

「もう、ここには誰もいないの」

少女は静かに立ち上がって

カーテンレールにくくりつけた

滴るみずいろのビロードの

おおきな、おおきな旗を

丸く切りとられた空へ向かって

悠然と、翻した。