八島純子が綴る妄想短編詩集
嫌い 嫌い!
何がって
マーマレード!
母が嬉しそうに
鍋いっぱいに作る
オレンジマーマレード!
「なんでよ〜」
「だってさ〜」
「あの、皮がさ〜」
「あ〜」
「苦い??」
「そうそう」
「あと、ぶにゅってなるし」
「鍋いっぱいに作るもんだから
その後毎日食卓に並ぶ訳よ」
「そりゃ飽きるわ〜」
「でしょ〜」
それから
何年も経って
久しぶりに実家に帰った
食卓には
あのマーマレード
「今年は上手に出来たでしょ〜」
誇らしげな母を前に
「う〜」
「まずい〜苦い〜… … 」
涙が
ぽたぽた
ほろほろ
ぼろぼろ
こんなに嫌いなのに
大嫌いなのに