3/12(日)開催「スペシャ列伝 JAPAN TOUR 2017 ファイナル」ライブレポート!爆弾ジョニー/never young beach/LAMP IN TERREN/yonige

いまや若手バンドの登竜門として多くの人気バンドを輩出してきた「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR」。そのファイナルが赤坂ブリッツで行なわれた。記念すべき10周年を迎えた今年は、yonige、LAMP IN TERREN、never young beach、爆弾ジョニーという全く個性の違う4バンドが集結。全国9ヵ所のツアーをまわり、互いに切磋琢磨しながら、今年も様々なドラマを生んでファイナルの地へと辿り着いた。オープニングの紹介映像では“歌で希望を届ける4組”とアナウンスされたとおり、今年これまでと違うのは、いわゆる踊れる系のバンドが存在しないことだ。ひとつのブームがピークに達し、それに対するカウンターが現れつつある変化の兆し。その気配をキャッチした今年の列伝ツアーは、とても大胆なチャレンジであり、だからこそ刺激的で、ある種の緊張感すらある一夜だった。

スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2017 ~10th ANNIVERSARY~

Text:秦理絵
Photo:古渓一道

1組目。大阪・寝屋川発のふたり組ガールズバンドyonigeは、サポートドラムを加えた3人編成でステージに現れた。「さよならアイデンティティー」を皮切りに、ボーカル牛丸ありさ(Vo / Gt)の中性的な歌声がオルタナティブなロックサウンドにのせてフロアに沁み渡っていく。海外のインディーロックの質感を思わせる新曲「our time city」を経て、「あのこのゆくえ」や「アボガド」といったユニークなyonige節が炸裂するダンサブルなアップナンバーへ。“男も女もない、かたつむりなりたい”と歌う「あのこのゆくえ」も、恋人にアボカドを投げつけた実話をもとにした「アボガド」も、yonigeが“別れ”のシチュエーションで描く心の機微には独特だが、奇妙に説得力がある。「今日で私の列伝ツアーは終わります。始まるときは“かかって来いや”という気持ちでいるんですけど、終わるとなると寂しいです」(牛丸)。そう言って届けた「さよならプリズナー」で、ごっきん(B)と牛丸とが少し離れて向き合い、激しく楽器を掻き鳴らすと、ラストソング「トラック」へ。“ハッピーエンドはいらない”と翳りを帯びたミディアムナンバーに込めた、諦念で彩られた笑顔のバッドエンド。ことさらに煽り立てることもなく、凛として聴き手の心を惹きつけたyonigeは、今年の列伝は違う、そう印象づけるのに十分なトップバッターだった。

yonige
yonige

メンバー4人がドラムセットの前で向き合い、「ウォイ!」と心をひとつにするように掛け声をあげて始まったLAMP IN TERREN。1曲目はフロアから湧く喝采を断ち切るように、松本大(Vo / Gt)がギターを掻き鳴らしながら静かに歌い始めた「メイ」だった。そのバンド名が示すように、聴き手を“微かな光”へと導ていくドラマチックなギターロックが会場に響き渡る。ミラーボールが放つ美しい光に包まれて繰り出した躍動感あふれる新曲「地球儀」のあと、MCでは松本がツアーを振り返って語りかけた。「自分らしさって何だろうって考えながらツアーをまわった。正直、心のどこかで自分を認められないところもあったけど、いまはここしかいないLAMP IN TERRENというバンドとして、歌えると思ってます」。バンドの“らしさ”を語るとき、テレンの音楽は決して革新的ではないかもしれない。だが、まるで歌わずにはいられないとでもいうような松本の切実な声と、そこに宿る意志や息遣いすら汲み取とうとする楽器隊との強いつながりが、彼らにはある。そんなテレンの凄味を感じたのが、続く「緑閃光」であり、「multiverse」だった。ウォーウォーとシンガロングを巻き起こし、“全て選んで 僕らは ここに居るんだろう”と歌うフレーズ。ここまでの道のりが決して間違いでなかったことを肯定する勇気の歌は、松本が自分に言い聞かせるようであり、同時に聴き手の満たされない何かを埋める優しさで溢れていた。

LAMP IN TERREN
LAMP IN TERREN

「どうも~!never young beachです。みんな楽しみにしてる?」。安部勇磨(Vo / Gt)の気さくな第一声を皮切りに、会場はバンドへの強い期待感を物語るような大きな歓声に包まれた。1曲目「どうでもいいけど」から、ネバヤンが鳴らす陽気で軽やかな音楽が一瞬にして会場の空気を明るくする。続けて「あまり行かない喫茶店で」へ。松島皓(Gt)と阿南智史(Gt)のツインギターが奏でる鮮やかなアンサンブルと、巽啓伍(Ba)の跳ねるベースに、鈴木健人(Dr)の軽快なエイトビート。はっぴいえんど周辺をはじめ70年代のポップミュージックをルーツに持つネバヤンだが、それは単純なリバイバルではなく、同世代の海外シーンにある土着的なフォークの色合いも滲み出た新世代のスタイルだ。最高にご機嫌なロックンロール「fam fam」では、お客さんが自然に体を揺らして音楽を浴びる、とても良い雰囲気が出来あがっていた。MCでは列伝ツアーを振り返って、「修学旅行みたいで楽しかった。グッドヴァイブスが流れたツアーだったと思います」と、笑顔を見せた安部。メンバーの楽しげな演奏の1音1音にハッピーが溢れた新曲「Surely」から、クライマックスに向けて朗らかにステージを締め括った「明るい未来」と「お別れの歌」。日々にいろいろはあるけれど、何はともあれ“ふざけたダンスを踊ろう”。言葉ではなく、音楽で全てを語るネバヤンのステージは、いまシーンに起こる変化の象徴そのものだった。

never young beach
never young beach

トリを飾ったのは昨年ついに活動再開を果たした爆弾ジョニーだ。ネバヤンの空気を引き継ぐようなアーバンなミディアムソング「Shall be a youth」からスタートしたライブは、続く「KEN・KYO・NI・ORA・TSUKE」で一転してタオル回しを巻き起こした。ロマンチック☆安田が“ほほほーいしようぜ ほほほーいのほい”と繰り出すコール&レスポンスも楽しい。インディーズ時代からの定番曲「キミハキミドリ」では、“ペフレモン バンチョー ピリピリムーン!”という意味不明の宇宙語に合わせて、みんなで謎の振り付けで踊る不思議な空間を作り上げていく。一見して破天荒で人を食ったようなパフォーマンスの爆弾ジョニーだが、その胸のうちには熱い想いが確かにある。それを楽曲に込めたのが、最新アルバムから披露された「EVe」や「A.I.R」だった。時々、りょーめーが叫ぶようにメロディを紡ぐその歌は、純粋ゆえに傷つきやすく、正直ゆえに生きづらい、そんな自分と同じ誰かを、不器用なりに救おうとする心強いエールソングだった。そして、アンコールで赤坂ブリッツを大合唱で包み込んだ「なあ~んにも」が素晴らしかった。“なんにもないじゃないか 始めはみんな何もなかったのに”。そう繰り返すシンプルなフレーズは、生きるうちに多くの荷物を背負い過ぎた私たちの心をふわりと軽くする希望のロックアンセムだ。爆弾ジョニーがこの曲をもっともっと広い会場で鳴らす景色をいつか見てみたい。

爆弾ジョニー
爆弾ジョニー

爆弾ジョニーのでたらめに楽しいアンコールから雪崩込むようにして、列伝ツアーのファイナルでは恒例となる全バンドの合同セッションへ突入。総勢16人が一堂に介して届けたのは、THE HIGH-LOWSの「日曜日よりの使者」をカバーだった。ステージではバンドの枠を超えて16人が自由に絡みながら、誰もが最高の笑顔を見せてくれた。この数週間の列伝ツアーは、これから彼らが歩むバンドの歴史のなかで、振り返ったとき、ほんの一瞬の出来事になると思う。だが、この短くも濃密なツアーで得た経験を糧にして、今後それぞれのバンドが唯一無二のアーティストとして、より高みへと飛躍していくことを願っている。

この模様は4月にスペースシャワーTVにてドキュメンタリーとファイナル公演の豪華2本立てでオンエア。こちらにも注目だ。

スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2017 ~10th ANNIVERSARY~

02/23(木) 福岡 DRUM Be-1
02/25(土) 広島 CLUB QUATTRO
02/26(日) 高松 MONSTER
03/02(木) 札幌 CUBE GARDEN
03/04(土) 仙台 MACANA
03/05(日) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
03/08(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
03/09(木) 大阪 BIGCAT
03/12(日) 東京 赤坂BLITZ

出演:爆弾ジョニー / never young beach / LAMP IN TERREN / yonige

番組オンエア情報

ドキュメンタリー編:4/21(金)24:30~25:30
ライブ編:4/28(金)24:30~25:30
リピート放送:5月予定

スペースシャワー列伝
http://www.spaceshowertv.com/retsuden/


GALLERY


LAMP IN TERREN never young beach yonige 爆弾ジョニー

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